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Animation、アニメ、アニメ業界

マスキングテープ 中国少数民族と中央アジアの民族衣装

 

マスキングテープ、新作の『中国少数民族と中央アジアの民族衣装』が完成しました。旧作の『北欧・東欧の民族衣装』とあわせて、コミティア、デザインフェスタ、その後BOOTHで販売します。

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※BOOTHでは11月下旬販売開始予定です


例によってアニメーションできます。
北欧、東欧の民族衣装もそうだったのですが、アニメーションさせるためにスカートの裾丈を統一しており、そのため本来の民族衣装とデザインが違っているものがいくつかあります。
日本の着物が膝下丈になっているようなものと考えるとわかりやすいでしょうか。
そこらへんはあまり目くじらを立てず、多めに見ていただければありがたいです。

ここではまず12種の中国少数民族と中央アジアの民族衣装の紹介をしていきたいと思います。
中国少数民族8種は民族での表記、中央アジア4種は国表記です。
カタカナ表記は検索しやすいようにWikipediaに準拠しています。

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ジーヌオ族
基諾族 / Jino
少数民族の中でも一番人口が少ない。短い対襟の衿無しの上衣、刺繍した胸当て、巻きスカート、頭巾状の尖り帽子が特徴。

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モンゴル族
蒙古族 / Mongolian
正装の髪飾りは宝石で装飾された帯をつける。上衣、ブーツの刺繍、帯が特徴。

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ミャオ族
苗族 / Hmong
地域によって大きく色や様式が異なるが、鮮やかな色彩、精巧な装飾品の銀細工、髪飾りの豪華さが特徴。

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チンプオ族
景頗族 / Singpho
丸襟の黒い上衣、赤い筒型スカートとすね当て、丸い銀装飾、赤い帽子が特徴。

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イ族
彝族 / Yi
スタンドカラー、太い袖、短丈、右留めで刺繍が施された上衣と、数色で構成されたギャザースカートが特徴。

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チワン族
壮族 / Zhuang
少数民族の中で一番人口が多い。藍染め、刺繍を施した前掛け、ひだの多いスカートが特徴。

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ウイグル族
維吾爾族 / Uygur
色鮮やかなアトラスと呼ばれる織物のワンピース、刺繍の入ったベスト、帽子が特徴。

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チベット族
蔵族 / Tibetan
髪飾り、腕輪、耳飾り、尾をイメージした裾にサンゴなどを使った銀細工や刺繍を下げる。縞模様の前掛け、毛皮の上衣が特徴。

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キルギス
Kyrgyz
円錐形の帽子、ベスト、プリーツの入った白いブラウスとスカートが特徴。

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カラカルパクスタン
Karakalpakstan
※ウズベキスタン内の自治共和国
絵は花嫁衣装。藍染めに刺繍が施されたチュニック型のドレス、ショールと一体化した頭巾、サンゴで彩られた頭飾りが特徴。

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タジキスタン
Tajikistan
上衣クルタと脚衣ロジムが特徴。柄が特徴的。衣服自体はウズベキスタンに似ている。

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トルクメニスタン
Turkmenistan
上衣クイネクと脚衣バラクが特徴。頭、耳、胸、首、腕などに大型の銀の飾りをつける。

以下は参考文献。下記以外もネットの様々な画像を参考にしました。

世界の民族衣装の事典 世界の民族衣装の事典
丹野 郁

アジア・中近東・アフリカの民族衣装 (衣装ビジュアル資料) アジア・中近東・アフリカの民族衣装 (衣装ビジュアル資料)
芳賀 日向

BIRD6号 エキゾチック・アジア―民族衣装を纏う人々― (講談社 Mook(J)) BIRD6号 エキゾチック・アジア―民族衣装を纏う人々― (講談社 Mook(J))
ユーフォリアファクトリー

マスキングテープ 北欧・東欧の民族衣装

事後報告で申し訳ありません。 オリジナルのマスキングテープを作り、デザインフェスタVol.40で販売しました。

おかげさまで売り切れましたが、次回以降も販売する予定です。 デザインフェスタ以外の販路は現在検討中です。
オンラインでの販売はpixivと連携した通販サイトBOOTHにて行います。
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マスキングテープの価格が高めなのは幅が太く、原価が高いからです。人気作家さんの幅15mmや18mmに比べ、幅30mmは1個あたり倍近い原価なんですよね…それでも欲しい!と思えるようなものを作りたい、と思って頑張っておりますので多目に見てもらえれば幸いです。

在庫は今後も補充しますので、第三者からの購入は避けていただければ幸いです。

 

ここではまず12種の北欧、東欧の民族衣装の紹介をしていきたいと思います。

maste01
ポーランド マゾフシェ地方 刺繍が施されたブラウスとスカートに、鮮やかな縞模様のエプロンをつけている。

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リトアニア 刺繍が施された薬箱型と言われる帽子、そこから垂れるリボンと腰の紐(サッシュ)が特徴。

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チェコ モラヴィア地方 ヴルチノフ 花の頭飾り、襟のかぎ針編みレース、アコーディオンプリーツの袖、房飾りや数々の刺繍ペチコートの重ね履きなど、華やかで手が混んだ衣装。

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ノルウェー ブーナッドと呼ばれる伝統的晴れ着。ビーズで作られた胸当てと細かい刺繍が特徴。

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ハンガリー カロチャ地方 チューリップやバラの立体的なカロチャ刺繍が有名。レースとリボンもふんだんに使われている。

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ブルガリア トラキア地方 シュミーズ、スカート、ベストに刺繍が施され、魔除けの硬貨を付ける。 頭巾をつけるのは既婚女性。

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ジョージア(グルジア) コーカサスとも西アジアとも分類されるしロシアと隣接しているが、東欧とは言い難い。 個人的に入れたかったのでご容赦ください。

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オーストリア チロル地方 ドイツのオクトーバーフェストなどでもおなじみの、ディアンドルと呼ばれる衣装。

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サーミ ラップランド(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの北極圏)に住む遊牧民。 コルトと呼ばれる色鮮やかな上着が特徴。

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ルーマニア トランシルヴァニア地方

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クロアチア ザグレブ地方 白地に赤の刺繍。頭とエプロンの上にスカーフを巻く。  

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マケドニア ブルガリアに近い感じ。朱と金で彩られている。

といった感じです。
また、以下に簡単にこのマスキングテープを作るに至った経緯というか過程がわかるツイートを貼り付けておきます。

 

そんなあれこれを経て、8月末にカモ井加工紙さまに入稿しました。
以下は参考文献。下記以外もネットの様々な画像を参考にしました。

ヨーロッパの民族衣装 (衣装ビジュアル資料) ヨーロッパの民族衣装 (衣装ビジュアル資料) 芳賀日向
世界のかわいい民族衣装―織り、染め、刺繍、レースなど手仕事が生みだす世界の色と形 世界のかわいい民族衣装―織り、染め、刺繍、レースなど手仕事が生みだす世界の色と形 国立民族学博物館 上羽 陽子

また、女の子の走るアニメーションはいろんな資料を参考にしましたが、タイミングは、ほぼこれを基にしています。もちろんトレスはしてません。念のため。

Animated walks and runs

背景How to本の決定版『デジタル作画法 アニメで見た空と雲のある風景の描き方』レビュー

こんな本を待っていた。
アニメに限らず背景を描く教科書として文句なくお薦め。

4816353763 デジタル作画法 アニメで見た空と雲のある風景の描き方
Bamboo
ナツメ社 2013-04-09

出版社サイトより

数多くのアニメーションの背景を手がけたBambooのスタッフが、CGでリアルな空と雲を描くテクニックを紹介します。色の作り方や光のとらえ方などの基本テクニックから、季節や時間で異なる空を描き分ける応用テクニックまでわかりやすく解説します。南国の積乱雲、爽やかな朝焼け、ドラマチックな夕焼け、月明かりに照らされる雲、夏雲と田んぼ、秋雲、冬の曇天、飛行機から見た雲海、雲間から差し込む光、天の川、オーロラなどなど眺めているだけで楽しくなる「雲」と「空」が登場します!

でも表紙や帯のコピーの方が魅力を端的に示している気がする。

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の背景画や、『攻殻機動隊S.A.C』シリーズ、『東のエデン』、『009 RE:CYBORG』など。
CG背景美術のあのBambooが空と雲を描くテクニックを初公開!
現実より美しい空と雲は、アニメ作品の中にある!

【目次】

はじめに
GALLERY
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
東のエデン 東のエデン劇場版Ⅰ・Ⅱ
ギルティクラウン

Introduction 制作環境と基礎知識

デジタルで描くときの道具
画像サイズと解像度

Chapter1 基本パーツの描き方

グラデーションを描く
立方体を描く
球体を描く
円柱を描く
光源を移動させてみよう
雲と空を描く

Chapter2 自然物の描き方

岩を描く
木を描く
木や川のある風景を描く
南国の青い海と積乱雲を描く

Chapter3 一日の時間による変化を描く

爽やかな朝焼け、横から差し込む朝日
ドラマチックな夕焼け、逆光と沈む夕日
夜の海、月明かりに照らされる雲、映り込む月光

Chapter4 四季の移り変わりを描く

土手に咲く桜と菜の花
夏雲と田んぼ
秋雲とススキ
冬の曇天と雪山

Chapter5 いろいろな種類の空を描く

飛行機から見た雲海と、沸き立つ積乱雲
雲間から差し込む光、照らされる水田
夜空を縦断して輝く天の川
幻想的なオーロラのカーテン

Chapter6 都市や街並みを描く

質感を描き分ける
古民家のある風景
横浜ランドマークタワーから見た景色

Chapter7 アニメーションにおける背景の役割

登場人物の心情に合わせて背景を描き分ける
『君に届け』を例に
時間軸の変化に合わせて背景を描き分ける
『精霊の守り人』を例に

公式サイトで少しだが「立ち読み」できる。
アニメの背景美術というのは、2013年現在、8割方1からデジタルで作成されているのだが、そのメイキングを解説した本はこれまで無かった。
いや、アニメはもとより、ゲームやその他コンテンツと呼ばれるもののデジタル背景の描き方を解説している本でお薦めできるものは無かった。
アナログなら無くはない。
小林七郎の『空気を描く美術』や、『男鹿和雄画集II』などはいい教材になると思う。

空気を描く美術―小林七郎画集 (ジブリTHE ARTシリーズ) 空気を描く美術―小林七郎画集 (ジブリTHE ARTシリーズ)
小林 七郎 スタジオジブリ
男鹿和雄画集II (ジブリTHE ARTシリーズ) 男鹿和雄画集II (ジブリTHE ARTシリーズ)
男鹿 和雄 スタジオジブリ

デジタルで背景を描く解説書は2〜3年ほど前からぽつぽつと発売されていた。
私は元アニメーションの背景美術で、専門学校で講師をしているので、自分や生徒の参考になればと、発売されれば読んでみたり買ってみたりしている。
中には一部使える部分があったりしたが、全体的には物足りなかった。
しかしこの本は文句なくお薦めだ。
既に業界の背景美術の人や生徒も含め薦めまくっている。
この本を読んでみると、或いは細かい解説が載っていないと感じて不満に思う人もいるかもしれない。
“本の通りに描いたら凄い背景を描けた” という結果を求めるなら、その通りだと思う。
例えば、使うブラシの種類とか、レイヤーの重ね方といった解説は控え目だ。
しかしそれがいい。
絵を描く上で気をつけるべき点、雲、空、空気、木など自然現象の解説、光源に対する明暗の付け方など、本質的な解説が多い。
だから、PhotoshopでもPainterでもSAIでもClip Studioでも通用するし、バージョンが変わったからといって内容が変わるわけでもない。
それならアナログ時代の書籍でもいいのでは、という疑問も湧くが、それは半分当たっていて、半分誤りだ。
アナログ時代の書籍は、パネルへの水張りやポスターカラーの説明、地塗りなど、アナログ特有の事柄に割く部分が多く、デジタルで役に立たない部分が多い。
また、「筆の腹を使って」「水を多めに含ませて」と描いてあった時、それを再現するにはどうしたらいいのかは、相当デジタルでの作業に慣れないと難しい。
「はじめに」にある言葉を引用する。

本書で紹介している技法は、Bambooという一背景スタジオのスタッフが描いている方法であり、描き方に正解はなく、数ある技法の1つであるということをご理解いただきたいと思います。

正解は無いが、現在この本より優れた方法の提案もまた無い。
もちろん個々の背景美術スタジオで積み上げたノウハウというのはあるのだが、アニメ業界というのはノウハウの体系化や継承が極端に苦手で、今後この本より優れた提案があるかは大いに怪しい。
しばらくは、この本が業界も含めた背景美術の事実上の教科書として使われることになるはずだ。

アニメの背景美術を志す人へのアドバイス

はじめまして。

ご質問の、アニメの背景美術を志すにあたって、これから専門学校でデジタルメインのコースと、アナログメインのコースのどちらを選ぶべきか、という件についてお答えします。

まずアニメ業界で背景美術に携わる人にとっての、おそらく共通の認識としては、

  • アナログで絵を描いてきた人がデジタルで絵を描く→可能
  • デジタルで絵を描いてきた人がアナログで絵を描く→不可能

ということです。
漫画家でも、今までコピックや絵の具やカラーインクを使っていた人がデジタル彩色になることはあっても、今までデジタル彩色だった人が、アナログの画材で描くようになった例ってほとんど無いですよね。
ですから、アナログとデジタルどちらを学ぶのが良いか、という質問に対しての答えとしては、ぶっちゃけつぶしがきくのはアナログだと言っていいと思います。

アナログか、デジタルか、という問題は、プロの場合は予算だったり納期だったり、いろんな事情でシビアな問題ですが、勉強の場合は、画力の向上や、色彩やパースを学んだり、発想するためにアニメ以外にもいろんなものを観たり読んだり、ということのほうがはるかに大切です。
傾向として、デジタルがメインのコースの方が、集まる生徒も、カリキュラムも、アナログメインのコースに比べると、画力の向上について軽視する傾向が強いと個人的には考えています。
Photoshopの操作とかというのは、所詮は手段ですし、もしアナログである程度の絵を描ける人なら、教えてくれる先生なり先輩がそばにいれば、数週間もすれば、Photoshopとタブレットである程度のものは描けるようになるはずです。

で、ここからが難しいところなのですが、不況だったり、アニメの製作本数が減っていたりで、以前にも増して、今、アニメ業界で新人を育てる余裕のあるところは多くありません。
そして、アニメーションの背景美術は1からデジタルで描いている会社が5~6割くらい。
アナログの絵をデジタル加工して使っている会社が残り4割。
(比率は調べたわけではないので違っているかもしれません。でも年々デジタルの比率が増えてきているのは確かです)
ごく一部を除くとほとんどの背景美術にはデジタルの工程が入っています。
(デジタルの工程と言っても、スキャンしてちょっと色を整えたり、効果を加えたりといったごく控えめなものから、紙にポスターカラーで描いた絵をベースに、デジタルでガンガン絵作りしていくものまでピンキリです)
だから、上記の「Photoshopを教える数週間」をケチるために、とりあえずPhotoshopを使ってなんとなく絵を描ける人を採る会社というのは多いかもしれません。
そう考えると、デジタルメインで勉強して、なんとか背景美術の会社にもぐり込んで、数をこなしていくうちに絵も上達していく…というのも、それはそれでアリなのかもしれない。

ちなみに私は某専門学校でデジタルで絵を描く的な授業を教えていたり、一方で会社で就職希望者のポートフォリオ(作品集)に目を通したり、面接官をしたりもしています。
それにサイトでPhotoshopのブラシのカスタマイズの記事を書いたりもしている。
だからデジタルメインのコースを推すのが筋なのかもしれませんが、たぶん今時のアニメーションを教える専門学校でデジタルの工程を全く教えないってことは無いと思うんです。
だから、アナログメインで勉強して、Photoshopで作った作品もいくつかありますよ、くらいが、一番バランスがいいような気がします。

もうひとつ。
アナログの画材…背景美術の場合はポスターカラーと画用紙と筆…で学んで、なおかつ絵がうまい人は、得てして、アナログの画材自体に愛着が湧いて、デジタルで絵を描くのを嫌うことがあります。
いや、今はさすがに無いかな…
まあとにかく、それは悪いことではもちろんありませんが、好きか嫌いかに関わらず、新しいものに対して貪欲な姿勢を持つ、というのもまた大事だと思います。

…と、くどくどと書きましたが、結局絵が上手ければどっちでもOKってことです。
バリバリたくさん絵を描いてください!

それでは失礼いたします。

ゲーム業界とアニメ業界での撮影(コンポジッター)の違い

アニメ業界でいう”撮影”という役職はアナログ時代の名残だ。
昔は撮影台という、巨大な顕微鏡のような形の装置があり、台の上に背景を載せて、その上にセル画を載せて、バシャッと上に設置されたカメラで撮っていたのだが、2010年現在、「サザエさん」を除いてこのやり方で撮影している国内のアニメーション会社はない。
おおかたの会社はスキャナーで取り込んだり、一からデジタル上で描いた各素材をAdobe After Effectsを使って合成している。

だからゲーム会社のコンポジッター、あるいは映像業界のコンポジッターと、アニメ業界の撮影は使う機材としてはほぼ変わらない環境にある。
で、やってることもほぼ変わらない。
基本的には他部署が制作した素材―背景とキャラクターとを合成する。特殊効果を追加したり、画面の質感を高めたり統一したりする。
また編集の仕事になる場合も多いが、セリフや音楽、音効を合わせたりすることもある。
つまり最終的に視聴者もしくはユーザーが目にする映像はコンポジッターが作る。

でもここからが大事なんだけど、アニメ業界のコンポジッターはタイミングに対する権限を持っていない。
具体的に例を挙げる。
続きを読む

「レイ・ハリーハウゼン大全」を購入&レビュー

発売日に購入したにもかかわらずレビューがかなり遅れてしまったが、ついに来た。
アニメーション(アニメ、ではない)、特撮好きの人なら必携の一冊。

4309270824 レイ・ハリーハウゼン大全
矢口 誠
河出書房新社 2009-02-26

河出書房新社サイトより

「特撮の神様」の全てが詰まった完全保存版。公開作品から幻の未発表作品まで、貴重なスチール、メイキング写真、デザイン画他700点の図版と共にハリーハウゼン自ら解説。オールカラー。

しかしそれよりも本の帯に記されている著名人の言葉の方が重みがあるかもしれない。

「レイはつねに新しく、けっして古びない。」
──レイ・ブラッドベリ(作家)

「私たち、特殊効果に関わるすべての人間が、
レイから絶大なインスピレーションを受けている。」
──ジョージ・ルーカス(映画監督/プロデューサー)

「僕はレイのすべてから影響を受けた。
彼の画期的な映画群には驚嘆するほかない。」
──スティーヴン・スピルバーグ(映画監督/プロデューサー)

「僕の映画におけるすべての創造物は、レイの「孫」だと言ってもいい。」
──ジェームズ・キャメロン(映画監督/プロデューサー)

「彼は永遠にストップモーション・アニメの王様だ。」
──ニック・パーク(「ウォレスとグルミット」監督)

なぜピクサーの「モンスターズ・インク」に出てくる日本料理店の名前が「ハリーハウゼン」なのか?
ハリーハウゼンという名前を知らなくても、彼の影響を受けた映画を観たことが無いという人はまずいない。
ちなみにこの本の原版はこれ。

Ray Harryhausen: An Animated Life Ray Harryhausen: An Animated Life
Ray Bradbury

しかしこの本は図版も豊富だが、ハリーハウゼンの自伝としての側面も強く、文章量が多いので、やはり邦訳されたことに意義があると思う。英語が堪能で無いなら、差額2000円を払う価値はもちろんある。

harryhausen_page
河出書房新社サイトより
中身はこんな感じ。ストーリーボードと最終的なフィルムとの対比という左ページのような構成がこの本の中では典型的。
テクニカルな部分はもちろん、作っていく過程での紆余曲折など裏話がこれでもかとでてくる。
実は特撮に限らず映像製作に関わっている人なら参考になる話題も多い。
3DCGをやっている人とかにも大いに参考になるのではないか。

この本は2003年に出版されたものの邦訳版だが、2年後の2005年にこれが出版されている。

0823084647 Art of Ray Harryhausen
Peter Jackson
Watson-Guptill 2008-12-09

ハリーハウゼンの画集の決定版。こちらは洋書でも全然問題ないと思う。
さらに2008年に以下の本が(私は未見なのだが)。

0823099806 A Century of Stop-Motion Animation: From Melies to Aardman
Ray Harryhausen
Watson-Guptill 2008-09-30

訳者あとがきによると

モデルアニメーションの歴史を詳細に解説したヴィジュアル・ブック

だそうだ。つまり、「キングコング」のウィリス・オブライエンなど、ストップモーション・アニメーション黎明期の偉人なども総括した内容なのだろう。
私自身近々購入予定。

広告 (SP) 業界の雑感、近況

3月から新しい職場で働いている。
主に広告におけるセールスプロモーション(SP)の企画、ノベルティの製造などをやっている会社だ。
「販売促進用のグッズ屋さん」というとわかりやすいだろうか。

そろそろ働き始めて3ヶ月。試用期間が終わる。
勝手な見込みだけど、なんとか雇い続けてもらえそうな塩梅だと思う。

私はそこで、クライアントへのプレゼン資料作成、パッケージを含めたノベルティのデザイン、入稿データ作成などを担当している。
企画ディレクターでもアートディレクターでも、肩書きはなんでもいいけど、要するにデザイナーだ。

クライアントは飲料メーカー、製薬会社など。
んで間に百貨店の法人外商部や広告代理店が入ることが多い。

入ってから3ヶ月、仕事の多くは北京オリンピック関連だった。
だから「サッカーの代表ユニフォームのヤタガラスが使用できず、変更の可能性」とか「水泳のウェアをスピード社に対抗して国内企業が急遽開発」といったニュースは全く人ごととは思えない。各企業の担当の方は対応に不眠不休で頑張っているのだろう。

入ってみてわかったのだけど、ノベルティグッズというのは、常識では考えられないほど企画立案から納期までの期間が短い。
だから、プレゼンが通るかどうかわからないうちに、材料の買い付けや金型の発注をしなければならないということがしばしば起こる。
ダメだったら被害を被らないといけない。
ひょっとしたらその分、通常の製品の製造販売よりも実入りが大きいのかもしれないけど、あいにくまだお金のことはよくわからない。

でも「予算が合わない」という理由で、ほとんどのノベルティは中国で製造しているし、中国内でもどんどん田舎の工場に発注するようになってきているということなので、すごく景気がいい感じでもない。
はっきり言って業界としては縮小傾向にあるのだろうと思う。
自分に置き換えてみても、昔はペプシのおまけとかチョコエッグとかちょっと集めてたりしたけど、ここ数年は全く食指が動かない。
それはつまり販促グッズというのは広告効果としては弱まってきているということなのだろう。

忙しさは……どうだろう。
タクシー帰りや朝帰りもしばしばで、かなり忙しいけど、まあデザイナー稼業としてはあり得ない忙しさというほどのことでもない。
アニメーション業界もそうだけど、まあだいたいそんなもんだ。

問題は個人的に別の仕事を請け負っていることで、そちらが思ったように進捗していない。
某ゲームシリーズの背景を描くという仕事だ。
私の見込み違いで、いろんな人に迷惑をかけてしまっている。
もともと平日はデザイナーで土日に背景美術と思っていたけど、とてもじゃないけど計画の通りには進んでいない。
本業にかかり切りで、なかなか絵が描けないのだ。

6月はそのへんも挽回しつつ人生で一番忙しいであろう今の日々を乗り切りたいと思う。

「ディズニー初期原画を返還へ」について

こんなニュースがあった。

ディズニー初期原画を返還へ=「眠れる森の美女」など250点−千葉大
千葉大学(千葉市)は18日、同大工学部棟で発見された米ウォルト・ディズニー社の初期アニメ原画約250点を同社に返還すると発表した。良好な状態での保管が難しい上、より幅広い活用が重要と判断した。
原画は、世界初の全編カラーでアカデミー賞を受賞した「花と木」(1932年全米公開)や、日本でも人気の高い「わんわん物語」(55年同)、「眠れる 森の美女」(59年同)などのセル画や背景画。60−61年に国内の百貨店などで展示後、寄贈を受けた国立近代美術館(現東京国立近代美術館)が63年、 アニメを研究していた同大の故源田秀三郎教授に譲ったらしい。
教材に活用しようとした同大側が2004年、ディズニー社に著作権について問い合わせて貴重な資料と判明。保存状態が良く、06年7月から1年近くかけて全国5カ所で一般公開された。
返還後は米カリフォルニア州にある同社のアニメーション・リサーチライブラリーに収められるという。
3月18日11時32分配信 時事通信

「より幅広い活用」というのが何を指すのか分からないけど、現在のディズニーのライブラリーはものすごく厳重で、活用どころか今後人の目に触れる機会は無いかもしれない。

私はディズニー時代、過去の名作の続編を作っていた。
「くまのプーさん」シリーズや、「101匹わんちゃん」や「シンデレラ」など。
それら続編の出来はさておき。

続編を作るからには過去の元作品の資料が必要になる。
だから監督なりスタッフは上述のライブラリーに行って過去の資料を探すことになるわけだが、なんと持ち出し禁止なのだ。だから閲覧のみ(コピーはとれるかも)。
昔は割と管理がルーズで、資料が散逸してしまったというから、その反省を踏まえてなのだろうが、「続編を作れ。でも元の資料は渡さない」というのはちょっとひどい、とスタッフがボヤいていた記憶があるような。
余談だが、昔はロサンゼルス近辺のガレージセールでは貴重な原画などが二束三文で売りに出されていることがあったようだ。例えば死んだおじいちゃんがディズニーのアニメーターだったりして、家族が価値を知らずに売るわけである。
まあ最近はなかなかそんなことは無いと思うけど。

資料が日本で発見され、展覧会が行われて、多くの人が目にしたというのは、実はアメリカにあるよりも幸せな出来事だったのかもしれない。

シュヴァンクマイエルの決定版!?

これすごいな……

B0013HKTZU ヤン・シュヴァンクマイエル コンプリート・ボックス
ベドジフ・ガラセル, ブラザーズ・クエイ, オルガ・イェリンコヴァ, ズデニェク・リシュカ, ヤン・シュヴァンクマイエル
コロムビアミュージックエンタテインメント 2008-08-10

by G-Tools

コロムビアミュージックエンタテインメントより

《鬼才》ヤン・シュヴァンクマイエルのコレクターズ・アイテム!
日本で発売されている全ての作品を、メーカーの枠を超えて、特別価格でパッケージした完全限定商品!

発売中のDVD10巻を、そのままカートンボックスに収納。
収録作品:「アリス」「ファウスト」「悦楽共犯者」「オテサーネク」「ルナシー」「シュヴァンクマイエルの不思議な世界」「ヤン・シュヴァンクマイエル短篇集」「『ジャヴァウォッキー』その他の短篇」「『ドン・ファン』その他の短篇」「シュヴァンクマイエルのキメラ的世界」

封入特典:オリジナル・ポストカード・セット
シュヴァンクマイエル監督作品チェコ版ポスター全種類をデザインしたコンプリート・セット。イギリス版ドイツ版「アリス」のポスターデザインも収録。B6サイズ(定形外)、8枚セット。ここでしか手に入らない非売品です。
(内容:チェコ版「アリス」「ファウスト」「悦楽共犯者」「オテサーネク」「ルナシー」「庭園(Zahrada)」、イギリス版「アリス」、ドイツ版「アリス」 ※Art design:Jan Svankmajer & Eva Svankmajerova/Zahrada Art design:Jan Svankmajer)

1965~2005年チェコ・英・西独・スイス・仏作品 収録時間未定
片面1層/片面2層,チャプター有,メニュー画面 日本語字幕
カラー/モノクロ/4:3/16:9
音声 ステレオ/モノラル/ドルビーデジタル

メチャクチャ欲しい。
ポチっといってしまおうか……

アニメ業界の”中の人”から見た「中国動漫新人類」

まだ私が日本のアニメ業界の「中の人」であるうちに書評を。

すごい。「中の人」やビジネスで中国と関わる多くの人は必読。
そしてそれ以外の方、特に中国人を毛嫌いしたり、どうせ観てるのは海賊版だろ?ってツッコミを入れるような人にこそ読んで欲しい。

本書「中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす」は、NBonline(日経ビジネス オンライン)の中国”動漫”新人類 をまとめ、加筆したもの。連載は継続中。でも最新の連載の文もこの単行本には収録されています。

この本は中国の若者の間で日本のマンガやアニメが流行っている、という「時事ネタ」を紹介しただけの本ではありません。
それはほんの入り口で、

  • 中国の人々はいったい日本をどう考えているのか?
  • 日本は嫌いだけど、日本のアニメやマンガは好きという感情はひとりの中国人の中で両立し得るのか?

さらには政治や経済、国家や歴史、戦争にまで話題は発展し、多角的に中国の「いま」に切り込んでいます。

正統的な書評はこの本を買うきっかけを与えてくれたアルファブロガ―、小飼 弾氏の書評に譲ります。
西にCNN、東にアニメ – 書評 – 中国動漫新人類

私が書くのは中国の人々にとってのマンガやアニメの位置づけについてです。
私は日々制作現場でアニメーションの仕事を中国に発注して、納品されたものをチェックして、という仕事を(も)しています。
そんな私にとってこの本は普通の人の2倍楽しめました。

4822246272 中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす (NB Online book)
遠藤 誉
日経BP社 2008-01-31

by G-Tools

目次 – 日経BP書店|商品詳細 - 中国動漫新人類より

まえがき

第1章 中国動漫新人類—日本のアニメ・漫画が中国の若者を変えた!
1 中国清華大学の「日本アニメ研」が愛される理由
2 『セーラームーン』で変身願望を実現した中国の少女たち
3 『スラムダンク』が中国にもたらしたバスケブーム
4 なぜ日本の動漫が中国の若者を惹きつけるのか
5 意図せざる?知日派?の誕生—中学3年生から見えてくる日本動漫の影響度
6 『クレヨンしんちゃん』にハマる中国の母娘
7 日本にハマってしまった「哈日族」たち

第2章 海賊版がもたらした中国の日本動漫ブームと動漫文化
1 初めて購入してみた海賊版
2 「たかが動漫」と、野放しにした中国政府
3 動漫の消費者は海賊版が育てた
4 仮説:「タダ同然」のソフトが文化普及のカギ
5 中国における動漫キャラクターグッズの巨大マーケット
6 日本動漫の中国海賊版マーケット
7 進化する海賊版製作方法—DIY方式と偽正規版
8 中国政府の知財対策と提訴数
9 日本アニメの字幕をつくる中国エリート大学生たち

第3章 中国政府が動漫事業に乗り出すとき
1 中国のコスプレ大会は国家事業である
2 中国の大学・専門学校の75%がアニメ学科を
3 国家主導のアニメ生産基地の実態
4 アニメ放映に関する国家管理—許可証制度
5 『クレヨンしんちゃん』盗作疑惑の背景に見えてくるもの
6 中国政府は、日本動漫をなぜ「敵対勢力」と位置づけたのか?
7 ゴールデンタイムにおける外国アニメ放映禁止令が投げかけた波紋
8 日本アニメ放映禁止に抗議して、地下鉄爆破宣言をした大学生
9 日本アニメの多くは、実は中国で制作されている?
10 アメリカも崩せない中国ネット監視の壁

第4章 中国の識者たちは、「動漫ブーム」をどう見ているのか
1 北京大学文化資源研究センター・張頤武教授の見解
2 『日本動漫』の作者・白暁煌氏の見解
3 中国美術出版社の林陽氏の経験
4 ある政府高官の、日本動漫に関する発言—中国はいずれ民主化する

第5章 ダブルスタンダード—反日と日本動漫の感情のはざまで
1 清華大学生の日本動漫への意識と対日感情
2 ネット上での日本動漫と対日感情に関する議論
3 中国人民大学の「日本動画が中国青年に与える影響」に関する報告書

第6章 愛国主義教育が反日に変わるまで
1 なぜ愛国主義教育が強化されるようになったのか
2 「抗日戦争」と世界反ファシズム戦争との一体化
3 台湾平和統一のために「抗日戦争」協調路線を展開
4 台湾系アメリカ華僑華人社会と、中国政府の奇妙な関係
5 華僑華人・人権保護団体が巻き起こした慰安婦問題
6 ネットで暴れる民族主義集団—憤青
7 日中の戦後認識のズレは、どこから来るのか
—アメリカに負けたのであって、中国に負けたとは思っていない日本

第7章 中国動漫新人類はどこに行くのか
1 日本動漫が開放した「民主主義」
2 ウェブににじむ若者の苦悩—「親日は売国奴ですか?」
3 愛国主義教育は中華民族の尊厳のためか、それとも中国共産党の基盤強化のためか
4 中央電視台が温家宝のために敷いた赤絨毯—「岩松看日本」
5 精神文化のベクトル、トップダウンとボトムアップ
6 中国が日本に「動漫」を輸出する日

あとがき

この春、ついにテレビ地上波でのアニメーション放映本数が前年度を割りました。
近年アニメは日本が誇る重要な産業だとか言われていますが、実際のところゴールデンタイムの放映は週でほんの数本。
それでもトータルの放映本数だけは今までどんどん増加してきたのですが、1本あたりの制作費も下落傾向に歯止めがかからず、先細りの様相がついに数字にも表れてきた形です。
少子化で子供も少なくなり、DVDも売れず、市場自体が縮小している。
製作現場は悲惨で、みな貧乏に耐えきれないか、体を壊して辞めていく。

産業として破綻している、いや最初から産業として成立していない。

でもそんな製作現場であっても、唯一制作者が報われる要因があるとしたら、それは視聴者が作品を愛してくれるということに尽きる。少なくとも私にとってはそうです。

でも現代の日本ではそれも難しい。
かつてゴールデンタイムのアニメは視聴率は15%以上が当たり前の優良コンテンツでしたが、現在は「サザエさん」を除くとゴールデンでも6〜10%前後、それ以外は5%を切るのが普通です。
今の小学生にとっては「クラスのみんなが見ているアニメ」は無いかもしれない。

業界のヒット作も青年向け、もっと言えばアニメファン向け。
それは悪いことではないけれど、閉塞感はある。
あらかじめアニメを観る人と観ない人が別れている。

でも中国は違う。

中国で最初に日本のアニメがテレビ放映されたのが1981年。「鉄腕アトム」(本書では書かれていないがおそらく日本で1980年から1981年に放映された鉄腕アトム (アニメ第2作)だと思われます)。
そして1980年代後半生まれで、現在20代後半の人々を本書では中国動漫新人類と定義し、日本のマンガやアニメを当たり前に観て育ち、新しい価値観を持った世代だとしています。

1981年からさかのぼること18年、日本で事実上最初のテレビアニメが1963年。奇しくも同じ「鉄腕アトム」。
そこを基準に考えると、1960年代半ばに生まれ、現在40代半ばの人々……オタク第一世代が日本で言う彼らに当たるのかもしれない。

つまり中国の人々にとってアニメというのは、現代の日本人にとってのアニメよりもずっと魅力的で、学校でもクラスのみんなが観ていて、影響を強く受けているメディアのようなのです。

日々中国の人々、それこそ20代後半の人ともよくやりとりをしますが、正直日本では考えられないような酷い仕上がりだったり、仕事に対するモチベーションの低さに辟易する時もあります。
でもそれは20年前のテレビアニメが現在の目で見るとクオリティ不足なのと同じなのかもしれない。

アニメを観て感化されたり、感動したり、それで日本語を勉強したり、親子で話題にしたりしている人々が海の向こうに何億人もいるということに感銘を受けました。それも「生き方を学んだ」とか今の日本人からすると大仰とも言える表現で目を輝かせながら語る人々が。

私は今月でアニメ業界を去りますが、次の仕事(広告業界)でも中国とは大いに関わりはあるし、出張もすることになると思います。このタイミングでこの本と出会えて良かったです。

拝啓、ステファン・サグマイスター。

I’ve seen movies that moved me, read books that changed my outlook on things and listened to many pieces of music that influenced my mood. Somehow, I never seem to be touched the same way by graphic design,

自分を感動させてくれる映画があった。
物事の見方を変える本があった。
僕の気分に影響を与えた多くの音楽を聴いてきた。
どういうわけか、グラフィックデザインが同じような感動を与えてくれた覚えは決してない。

上の文章は、雑誌「アイデア 275号」に載っていた、
ステファン・サグマイスター(Stefan Sagmeister)の文章の一部です。
私が大学4年の夏の時に発売された号。
大学でグラフィックデザインを学んでいたにもかかわらず、私は結局グラフィックデザイナーにはならなかったわけだけど、その理由の一つは、人生の岐路に立っていた時にこの文章に出会ったからです。

もちろん彼は、本当に人の心に届くような、物の見方が変わってしまうようなグラフィックデザイン、タイポグラフィを生み出そうとしているからこそ、そういうことを書いたわけだ。

ちなみに上の文章は

leave alone a piece of typography.

ただ一片のタイポグラフィを除いては。

と続き、そのあといかにもサグマイスターらしいエピソードが語られます。

彼の言う、人の心を揺り動かすクラクラするようなデザインは、その「アイデア 275号」を見ればわかります。
Sagmeister
彼自身の体にニードルで傷つけて書かれた「Stefan Sagmeister」のサイン。そしてプロフィール。ところどころ血が滲んでいます。(※画像はトリミングしており、オリジナルのデザインではありません)
タイポグラフィをフォントの配置くらいにしか考えていなかった私はものすごい衝撃を受けました。

そして今私は、人を感動させたり、物の見方が変わってしまうようなものを作り出そうと飛び込んだアニメーション業界を去ろうとしています。

ステファン・サグマイスター、あなたは立派だ。
少なくとも私は、日々のおよそクリエイティビティとは縁遠い仕事の中で、あなたのような高邁な理想とモチベーションを維持することはできなかった。

あなたの背中は昔も今も遠い。

ステファン・サグマイスター
1962年、オーストリア生まれ。ウィーンの応用美術大学で美術学修士号(グラフィックデザイン専攻)を取得。フルブライト奨学生としてニューヨークのプラット・インスティテュート修士号取得。広告代理店レオ・バーネットの香港オフィス、ニューヨークのM&Co.にクリエイティブディレクターとして勤務した後、1993年ニューヨークにサグマイスター・インクを設立。グラミー賞パッケージ賞に4回ノミネート。クライスラー賞、ニューヨーク・アートディレクターズ・クラブ金賞、東京TDCグランプリなど数多くの国際的なデザイン賞を受賞する。

大日本印刷のサイトより引用

『ザ・シンプソンズ MOVIE』DVDを予約購入

事の顛末はもう書きませんが、本当に良かった。

ザ・シンプソンズ MOVIE (劇場版)
ザ・シンプソンズ MOVIE (劇場版) 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2008-03-19

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FOXJAPAN ONLINEより詳細:

ポイント
●全米アニメ至上最長寿を誇る大人気TVシリーズ『ザ・シンプソンズ』が、スケールアップして初の映画化!
●DVD&Blu-rayでしか味わえない特典満載! DVD&Blu-rayでは3つの音声が楽しめます! 1つ目はファンには貴重なオリジナル英語音声を収録。2つ目は劇場公開版の豪華キャストによる日本語吹替音声。そして3つ目はDVD&Blu-rayだけのオリジナル日本語吹替音声。TVシリーズでお馴染みのオリジナル声優陣による吹替版をDVD&Blu-rayだけに特別収録! また、日本だけのオリジナル映像特典として劇場吹替版の舞台裏やインタビューを収録したメイキング映像も必見!
●TVアニメシリーズ同様、<劇場版>でも大スターが登場! グリーン・デイ、トム・ハンクスがゲストとして出演する他、声は違うけどシュワちゃんがアメリカの大統領として登場。

特典
●音声解説1――ジェームズ・L・ブルックス、マット・グレーニング、アル・ジーン、マイク・スカリー、デイビッド・シルバーマン、ダン・カステラネッタ、ヤードリー・スミス
●音声解説2――デイビッド・シルバーマン、マイク・B・アンダーソン、スティーブン・ディーン・ムーア、リッチ・ムーア
●未公開シーン集(7種)
●神出鬼没! シンプソンズ映像集(4種)
●劇場予告編集(5種)
●劇場吹替版 メイキング・オブ・「ザ・シンプソンズ MOVIE」

私はTVシリーズのシーズン1から10までのBOXもコンプリートしているファンですが、やはり劇場には足を運びませんでした。

ムック本 映像+(プラス)01 人形アニメーションの現場

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人形アニメーションに興味がある人ならば必携のムック本。

Amazon上では画像すら無く、目次などの情報も無いので、まず買おうとは思わないかも知れないけれど、もしこれを読んでいるあなたが、「人形アニメーション」「クレイアニメーション」「ストップモーション・アニメーション」などに少しでも興味がある、もしくは「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」「ウォレスとグルミット」「プチプチアニメ」などが好きならば、まず買って後悔はしないと断言できます。 続きを読む

転職活動中

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

さて私事ですが、諸事情から現在勤務している会社を2月いっぱいで辞め、転職することにしました。
円満退職です。
アニメーション業界を去ることになると思います。

で、転職活動はじめました。
業界自体を去るつもりなので、コネが全くありません。

正月に実家に戻った際も、浪人時代の石膏デッサンを引っ張りだして、デジカメで撮影したりしていました。
mars.jpg
もちろん就職活動用のポートフォリオに載せるためです。

路頭に迷わないように頑張ります。

アニメの背景画とPhotoshop

日本のアニメーション業界のデジタル化というのは、「仕上げ(キャラクターの色塗り)」と「撮影(コンポジット)」においてはほとんど100%完了している。
現在、唯一アナログ彩色、アナログ撮影をしているのは「サザエさん」。

この2つの行程はデジタル化によるメリットが大きく、移行時の弊害もそこそこに、瞬く間にデジタル化された。

じゃあこれ以外の行程、大きく分けて、「作画」と「背景美術」はデジタル化されないのか?といえば、デジタル化していこうというムーブメントが一時的に起こったり、会社単位で言えばデジタル化した所はあれど、未だに業界全体がデジタル化の方向に動いているという話はない。

なぜデジタル化していかないかといえば、理由は簡単で、デジタル化しても撮影やペイントほど効率化するわけでもなく、それでいてアナログの風合いが無くなってしまうから。

それでも「背景美術」に関しては少しづつデジタル化が進んでおり、2007年現在、統計を取ったわけではないけれど、たぶん制作されている作品の半数ぐらいがデジタル上で作られている。
具体的には、Adobe Photoshopで一から描かれている。

今まで筆で画用紙にポスターカラーで描いていた人がペンタブレットを使ってパソコンのモニタを見ながら絵を描くわけだ。
面白いもので、Corel Painterをメインで使っている背景会社というのは聞いたことがない。
(補助的に使っていたり、テストで使ってみてやめてしまったりというところはある)

私もそういう立場で業界に携わっているひとりだが、その具体的なノウハウというのははっきり言って既存の書籍やサイトにはほとんど載っておらず、独自に編み出したものが多い。
その一例がブラシのカスタマイズ。
いま世界中の多くのサイトでフリーのブラシが配布されているが、そのほとんどが、画像を「ブラシに定義」しただけの、いわば「デジタルハンコ」に過ぎない。
既存の本にはブラシパレットのパラメータの説明は書いてあっても、それをどう使えばどういうブラシができるかは書かれておらず、さらに謎なのが、Photoshopにあらかじめプリセットとして登録されているブラシがショボ過ぎる。

だから自分で作る。
ハンコじゃなくて、画材として使えるブラシを。
シーンの前後が画用紙にポスターカラーで描かれた絵であっても、全く違和感がないデジタル背景を効率よく作らなくてはならない。
幸いPhotoshopは画材として使うための高度なカスタマイズ機能が随所にあるのだけど、その意味を完全に理解して、いじれる人はあまりいないようだ。

ブラシ以外にもTipsを挙げていったら本一冊書ける気がする。

Adobe Photoshop CS5 Windows版 (32/64bit) Adobe Photoshopシリーズ
アドビシステムズ

Wacom プロフェッショナルペンタブレット Mサイズ 紙とペンに迫る書き味 Intuos4 PTK-640/K0 Wacom ペンタブレットシリーズ
ワコム

「アニメ」と教育

私は、「アニメ」という言葉は「アニメーション」の単なる略語ではなく、”日本のアニメ産業”製のアニメーションだと定義しています。この文章内の引用では、「アニメ」「アニメーション」という言葉の使い分けは必ずしも私の定義の通りではありません。

こんなニュースがありました。

アニメは学問 国立大お墨付き 東京芸大、院に専攻新設

国際的に活躍できるアニメの監督や研究者を育成するため、東京芸術大学(宮田亮平学長)が大学院にアニメーション専攻を新設することが17日、分かった。芸大は文部科学省に設置を申請しており、11月に予定される大学設置審議会で正式決定される。大学院にアニメや漫画の専攻ができるのは全国で初めて。芸術系大学の最高峰に新設されることで、アニメの芸術性が学問的にも認められた格好だ。

文科省や大学関係者らによると、新設するアニメーション専攻は、日本の文化として認知されつつあるアニメを、より積極的に世界に発信していく狙いもある。

来年度から映像研究科の修士課程で16人を募集する。大学の学部段階で絵の描写や物語の構成方法を学んだ学生を対象に募集をかけ、アニメ専門家としての才能を発掘、作家や監督、研究者を養成する方針だ。

カリキュラムは実習を重視。制作技術や物語の構成だけでなく、3Dグラフィックなどの立体アニメも研究する。外部プロデューサーも招聘(しょうへい)することも検討している。

東京芸大には美術学部、音楽学部とそれぞれの大学院があるが、平成17年、総合芸術大学への転身をはかるため、学部を持たない大学院だけの映像研究科を横浜市に新設。映画専攻とメディア映像専攻を設置し、黒沢清監督や北野武監督らを教授に迎えて話題になった。

アニメや漫画をめぐっては、京都精華大が12年に「マンガ学科」を新設。その後、文星芸術大、東京工芸大、東京造形大などで同種の学科やコースが続々と誕生した。今回、東京芸大の大学院も名乗り出たことで、追随する動きがさらに広がりそうだ。

■歴史浅く時期尚早?

アニメやマンガの文化性は認めても、学問としての芸術性を認知することに異論もある。田中英道・国際教養大特任教授(文化史)は「アニメは歴史が浅い。芸術としての内容と質は足りずジャンルも確立していない。私大ならともかく、国費を投入した国立大で研究するには時期尚早ではないか」と話している。

(2007/09/18 09:26)
産經新聞

この記事は中身はまともだけど、タイトルがおかしい。
まず東京芸大の院にアニメーション専攻が新設されるからといって、「アニメは学問」というお墨付きが与えられたわけではありません。

大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめ、または高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする(学校教育法第65条第1項)

つまり大学院は「学問」を修めるのではなく、研究し、「進展に寄与」することが目的なのです。
「アニメは研究に値する産業である」というお墨付きが与えられた、くらいが妥当なところではないでしょうか。

さらに「アニメは歴史が浅い。芸術としての内容と質は足りずジャンルも確立していない」という意見は、「アニメ」が冒頭に書いたような、日本のアニメ産業が生み出したアニメーションを指すならその通りですが、「アニメーション」のことを指しているなら異論を呈したいです。アニメーションの始まりは映像や映画の始まりと同時期…いや、ヨーロッパの見世物小屋までさかのぼる事ができます。これは少しでも映画や映像を勉強した事のある人にとっては常識です。現在多くの美術系の大学が映像や映画に関する学科を持っている事を考えても、歴史の浅さを理由に異論を呈するのはどうかと思います。

そしてアニメやマンガの文化性もさることながら、近年産業として有望である、と国内外で注目されている折、その注目度に比べて、アニメ産業を取り巻く教育環境は貧弱という他ありません。

世間ではこのニュースに対して、「アニメーションもここまできたか、バンザイ!」とか、「大学院でアニメ教えたって現場主義のアニメ産業とは関係ないだろ」とか、様々な意見があると思うけど、東京の美術大学出身で、現在アニメ産業に身を置いている私の意見を書いておこうと思います。

今回のニュースで私が思い出したのは次の記事です。

浜野安樹の「日本発のマンガ・アニメの行方」
最終回 オスカー受賞者を教えられるか —アメリカでのアニメーター再教育での歴史は長い

アメリカの現在のアニメーション業界で最も有名な人物、”21世紀のウォルト・ディズニー”とも称される、ジョン・ラセターの話です。

ジョン・ラセターは、1991年、長編アニメーション映画『トイストーリー』の制作にとりかかった。しかし、短編映画を作った経験しかもたないラセターは、初めての長編映画のストーリーの構成に行き詰まっていた。そこで彼は、ある行動をとった。

「物語の構造を学ぶために、ロサンゼルスに飛んで、バラエティ誌の広告に載っていたストーリー構成の週末集中コースを受講してみた。講師のロバート・マッキーは、彼自身の脚本よりもこの有名な講習会によって、カルトヒーロー的な存在になっていた。(略)そのコースは、将来を約束されたハリウッド系の人間はもちろん、エージェントやディレクターの卵たちにとっての永続的な教育の場となっている。(略)ジョン・ラセターはこのコースにとても興奮し、6人の仲間をロサンゼルスに送り込んで、受講させたほどだった」
(アラン・デウッチマン『スティーブ・ジョブスの再臨』毎日コミュニケーションズ、2001年、240-241頁)

このとき、ラセターは、『ティントイ』で第61回(1988年度)アカデミー賞の最優秀短編アニメーション映画賞を受賞していた。オスカー受賞者が再教育を自主的に受けたのだった。アメリカには、こういったプロになった者が受講する再教育の機会が数多くある。アニメーションではないが、アメリカ映画インスティチュート(AFI)のコンサーバトリー(Conservatory)という、映画人のための1年間の修士課程はよく知られている。日本からも、栗田豊通や豊島圭介といった映画人が留学している。

(中略)

日本で、こういった専門家のための再教育機関が成り立つだろうか。ラセターのように輝かしい受賞歴はなくとも実績のあるアニメーターが、修士過程の再教育機関に入学するだろうか。いったい誰が教えるのか。わが国でも専門職大学院という制度ができたが、アメリカのように再教育まで担えるだろうか。

日本の現在のアニメーション業界は、学歴社会とは何の関係もありません。
絵が上手いかどうか、構成が上手いかどうか、全ては実力の世界です。
それはそれでいい。
けれど一方で、極端に劣悪な環境であることもまた確かです。
以前に書いた通りですが、そんな産業に対しては、まともな職業訓練の教育機関もできるわけは無いし、また業界自体に、新人をしっかりと教育する余裕もありません。体力的に、金銭的に、精神的に、次々と脱落していく人々の中で、脱落しなかったキチガイだけがやっていくことができる……これは異常です。
現在は中国など賃金が安い所に仕事を投げて利ざやを得ている会社も多く、いきおい人材が育たない…前途多難です。
そして、アニメ業界の中では学歴は関係なくても、関係各所、すなわちテレビ局、出版社、広告代理店など仕事先の方々はみなさん高学歴なわけです。
はっきりいって、アニメ業界やその周辺には、この悪循環を変える力はありません。
東大や芸大を出たアニメーターやディレクターやプロデューサーが出てくるかどうか、出てきてどうなるのかといえば、別にすぐには変わらないと思いますが、10年、20年先には、業界全体のなんらかの変化があるかもしれません。
そういう意味で、先の東大のアニメーション専攻に続き、芸大のアニメーション専攻は意義があると思います。
特に現在のお粗末なカリキュラムでアニメーションを教える専門学校をはじめとして、生徒側もさることながら、教育する側の質の向上が長期的には期待できるのではないでしょうか。

ちなみに私が美大生だった頃には、アニメ業界というのは全く眼中にありませんでした。
そしてひょんなことから業界に入ってわかったのですすが、アニメ業界の人は美大は全く眼中にありません。
また美大出身の人はごく少数派です。
もちろん文系、理系含めた普通の大学は言わずもがな、です。

主に産業としてのアニメについて書きましたが、文化的な側面についてはまた別の機会に。

イマジカ

今日は6時から初号試写というやつに行きます。
夏休みロードショーのアニメ映画です。
映画の場合、現像して音声と合わせてみないことには
最終的な仕上がりがわからないので、
関係者が集まって仕上がりを確認するわけです。
印刷で言うと色校正みたいなものかな。

ただアニメーションの場合は有名無実化していることが多くて、
関係者への顔見世的な側面もあるような気がします。
もともと35mmフィルムを切り張りして編集しているわけではないし。
まあ色味やディテール、音声なんかは、
初号の後に手直しすることもあるのかもしれません。

そしてその後、問題なければマスタープリントを作成。
さらに全国各館上映用プリントを現像しつつ、
マスコミ用試写会
(テレビでよく報道されているやつ。タレントや抽選で当たった一般の方を招いて上映する。映画の宣伝用)
を経て、一般公開に至ります。

行く場所は五反田のイマジカというところ。
試写室の席数はせいぜい200くらいで、
マスコミ用試写の豪華さとは比べるべくもありませんが、
僕を含めた多くのスタッフにとって、
自分の仕事が最終的にどう仕上がっているのか、
初めて確認できる場でもあります。
このときはいつも期待半分、不安半分です。

あ、上で初号の後に手直しするかもと書いたけど、
今回、そして多くの場合、もうそんな時間的余裕はもともとないです。
だって今日は金曜日で、来週がマスコミ用試写会で、
再来週末には全国公開なんだもの。
どんなことがあってもタイムオーバー。
どうしようもありません。

アップル、ピクサー、アンパンマン。

7月6日(木)
「ピクサー・アニメーション・スタジオのマット・ペインターが語る「カーズ」製作秘話」
というイベントに行ってきました。
場所はApple Store, Ginza。
社外勤務届が受理されて、交通費も支給。ラッキー。
イベントの詳細が記事になっているので、詳細はそちらをお読みください。

DVDでも触れていない「Mr.インクレディブル」の秘密

感想はというと、とても面白かったです。
イベントが終わった帰りに、近くにいた学生らしき人が
「マットペイントがどこで使われたとかじゃなくて、どう描いているかを見たかった」
みたいなことを話していて不満そうだったのですが、僕は全然気にならなかったです。
というか、どう描いているかは、「Mac上のPhotoshopで描いています」の一言が全てだったと思う。
技法を言えばキリがないけど、それは絵の具で描く絵と基本的には同じ。
むしろ、ピクサーの作品であれ、なにも特別なテクノロジーが使われているわけではない、ということがわかった気がして、なんだかやる気が湧いてくる気がしました。
自分の日々の仕事と地続きな感じがした、というか。
といいつつ、どうやら「カーズ」の路面は自動的に作られる別のプログラムがある様子でしたが。

質問コーナーの時に
「3Dの勉強をしているんですけど、ピクサーに入れてください」
っていう女の子がいました。
いつも思うんだけど、なんでピクサーに憧れてピクサーに入りたいっていう人は、決まって3DCGの勉強をするんだろう?
デジタルハリウッドに通ったって入れっこないのに。
まるでK-1に出たいからって空手の通信講座を始めるようなもので、全然意味が無い。
それにたぶんピクサーのスタッフ(現在、800人くらい)で、直接3DCGのソフトいじっている人って半分もいないんじゃないかなぁ?
それよりはカルアーツ(カルフォルニア芸術大学:ウォルト・ディズニーが提唱した)に入れるようにまずは英語とデッサンの勉強をはじめた方がいい。
日本のアニメやCGの業界は恐ろしいまでに学歴とか関係なく、ひたすら現場の実力主義で、それはいいことなんだけど、それだと日本以外じゃやっていけない。
ピクサーって一見華やかな3Dを使ってるけど、そこにある哲学はディズニーから続くオーソドックスで、アカデミックな実力だと思う。
つまり、高学歴な人が、高収入で、高水準のモノを作る。
日本で言うと、広告代理店のようなものだろうか。
日本のアニメ業界の現場主義は、低賃金の水準が変わらない原因のひとつなんじゃないかと思ったりもする。

7月7日(金)
この夏の劇場版アンパンマンの慰労会(打ち上げ)に行ってきました。
新宿アイランドタワー。日本マクドナルド本社が入っているビルです。
私は併映の短編に関わっていたのですが(といっても納品データのまとめ、修正くらいでほとんど絵は描いていません。エンドロールの名前も無し)、原作者のやなせさん曰く、
「劇場版17年目にして、やっと満足のいくものができた」と出来に満足されていたそうで、嬉しい限りです。

それいけ!アンパンマンいのちの星のドーリィ/同時上映:コキンちゃんとあおいなみだ

DとP

ディズニーがピクサーの買収を発表しました。

ディズニーの取締役にピクサーとアップルのCEO(最高経営責任者)、スティーブ・ジョブズが就任したのが個人的には嬉しいです。

ディズニーはアニメーションの内容に対して、財務系の重役が口を出す(Executive Retake)という文化がありました。

もちろん、予算面で実現できないシーンの見直しなどは当然です。
また、クリエイティブ系の重役によるリテイクならば、スーパーバイザーとしてのクオリティの管理はこれまた当然です(ピクサーにおけるジョン・ラセターがまさしくその立場の人だと言えます)。

でも純粋にクリエイティビティの部分で、財務担当の意見が優先されるのは良くないと、個人的には思います。
やはり作品に対しての最高権力者は本来監督であるべきです。

スティーブ・ジョブズとジョン・ラセターがその辺の文化を変えてくれるといいのだけれど。

両社にとって今回の買収がよりよい結果に結びつく事を希望してやみません。

………大丈夫か?この日記…

日本のアニメーターは、どれほど貧しいか

僕の職業はアニメーション制作業ではあるものの、いわゆるアニメーターではないので、このタイトルの言葉には微妙に当てはまりません。
ちなみにアニメーターとは、アニメーションの作画(原画、動画)を行う人の総称ですが、アメリカでは作画監督クラスの人に冠せられる役職です。「マンション」と同じで日本では大げさな言葉を使っているわけです。

HotWired JAPANにタイトルのコラムが現在掲載されています。
http://hotwired.goo.ne.jp/original/hamano/051206/index.html

この中に、労組から民放連に提出された「テレビアニメーション制作に関する要望」というものが載っていて、非常に興味深いです。
以下引用:

1 賃金について
(1) 新人アニメーターの最低(保障)賃金
(時間額710円×8時間)×22日=月額124,960円
★710円は、東京都の「地域最低賃金」
★人材育成には月額保障が欠かせません。(2) アニメーターのモデル賃金
原画モデル 1カット3500円×月40カット+月保障7万円=
月額210,000円
動画モデル 動画一枚250円×月450枚+月保障5万円=
月額162,500円
★モデルは、アニメ業界で圧倒的多数の出来高制賃金を前提としています。
★モデルの「出来高賃金+月額固定給」方式は、労働基準法27条の「出来高払制その他の請負制度で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」にもとづいています。

これは要望なので、実態はこれより悪いということです。
初任給一桁は当たり前、という感じ。
この他、動画マンの年収は100万円未満が73.7%など、衝撃的な数字がこのコラムには載っています。
少し前に「年収300万円時代を生き抜く経済学」という本が話題になりましたが、この業界で300万円以上というのはかなりアッパーの人達です。

なぜこんなにも安いのかと言えば、それは番組制作費が安いからです。
なぜ制作費が安いのかと言えば、そもそもは故手塚治虫氏が国産初のテレビアニメーション「鉄腕アトム」を安く請け負ったというところに端を発します。
この辺は詳しく話すと長いので省きますが、もちろん手塚治虫氏が悪いんじゃなくて、その後40年以上に渡って悪循環を断ち切れない今の人が悪いわけです。

そういえば昔僕がディズニー時代に、ジブリの友人と計4人で飲んだのですが、その時点で給料が20万円を超えてる人は誰もいませんでした。全員入社3年以内の頃の話ですが。
両社とも業界の中ではかなり異例といっていいくらい待遇はいいはずですが、それでもそんなもんです。

動物キャラクタービジネスの弊害

ムシキングのブームで、日本で海外産のカブトムシやクワガタがブームだ。
で、それが日本の生態系に影響を与え始めているらしい。
交雑(日本のカブトムシやクワガタと、外国産のが交尾して、本来いない種が生まれること)も発見されている。
ムシキングのマンガの連載を抱えている小学館は紙面で注意を呼びかけることを決めた。
一方この間深夜にやっていたドキュメンタリーで、東南アジアの山間部の農村で、昆虫フィーバーが起こっているというのがやっていた。貴重な昆虫一匹で、村民の月収くらいになるらしい。もちろんそれらは丁寧に梱包されて日本に送られる。

ファインディング・ニモのヒットで、カクレクマノミが乱獲されて減少しているらしい。
映画自体はほぼ完璧な、動物愛護プロパガンダムービーだとは思うのだけど、観る人にはそのメッセージよりもキャラクターの可愛さの方が大事なのかな。
でも幼児や小学生以下向けのコンテンツビジネスは、つまるところキャラクタービジネスなわけで、動物が主人公である場合、内容に関わらずその動物に注目が集まって、売れる。

僕は実はファインディング・ニモの場合は配給側として間接的に、
ムシキングは制作側として参加していて、いわば当事者というか元凶の一部だ。

作品が悪いんじゃなくて、子供の親が悪いとか、乱獲する業者が悪いと言っても始まらない。視聴者のモラルに期待しても残念ながら、こと動物や生態系の問題はよくなった試しがない。

啓蒙するほど注目が集まって、結果的に被害は拡大する。
物語の持つ力の限界とはどこにあるのか?
いろんな思惑の間で、今日も僕は引き裂かれながら仕事をしている。

転職を模索中。

実は転職を考えています。
まあ実際は何も行動を起こしていないので、どうなるかはまだ何とも言えないんだけど…
ただアニメ会社の一部署のチーフとして働いていて、部下もいるし、新人も抱えているしで、辞める一ヶ月前に「来月辞めます」じゃ済まないという現実がある。
チーフになれるように部下を育てるか、どこかから次のチーフを捜してくるか…とにかく、布石が必要なんです。

それより大事なのが、じゃあ次の仕事はなにをするのか?ということ。

アニメ業界は全然考えていません。
業界内で転職するくらいなら、別に今の会社のままでいい。
会社に不満があるわけじゃないし。
いや、なくはないけれど、転職のきっかけになるような不満はない。
世の中にはアニメ業界を目指している方がいっぱいいると思うんですけど、で、そういう方には申し訳ないんですけど、誘われたから入った、という感じで、もともとあんまりアニメに興味がないんです。
今も一週間通して、ほとんどTVでアニメを観ないです。
あ、ストップモーションアニメーション(ナイトメア・ビフォア・クリスマスとかウォレスとグルミットとか)は好きですけど。
学生時代もファッションや音楽が好きで、代官山や原宿にいて、アキバとか全然眼中になかった。
今もピアスとハンチングにワークブーツで、ビッグスクーターで通勤と、およそアニメ業界に似つかわしくない格好です。
あ、体型だけはバッチリ染まりましたけど( ̄へ ̄|||)

でもやっぱり潰しが聞かないわ、絵描きって。
僕はアニメーションの背景描きなんですけど、業界以外である程度キャリアを活かせるとなると、ん~ゲーム業界くらいかなあ…でもゲームもあんまりやらないので、いまいち興味が持てない。いつでもおいでよ、って言ってくれるところもあるんだけど…

あとは昔いた広告業界…性分としてはそっちの方があってるような気もする。

もやもやとそんなことを考えている今日この頃です。

DVDの特典って

こないだ僕がスタッフとしていて参加していたアニメーションに関する撮影がありました。
それはDVD特典用のメイキングというやつです。

ビデオカメラが製作現場にきて、こういう風な工程を経てアニメーションは出来上がっているんだよ、ということを撮っていきます。
舞台裏ってやつなんですかね。
まだあがりは見ていないんですけど、なんか絵面っていうんでしょうか、作るのはプロでも、映るのは素人ばっかなので、ムサい感じになってるんだろうな~と想像します。
で、それを補うためにテロップとか多めになってそう。

僕は実はいちおう部署のチーフなので、いろいろ説明したり、作ってて楽しかったことや大変だったことを説明しました。
とはいえオタクや大人向けではなくて、幼児向けのアニメなので、あまり細かい専門的な事は説明していません。
本当はもう作業は終了しているので、作業風景は少なくともうちの部署に関してはヤラセでした。
実際、超忙しい時期にカメラなんか来られたら迷惑で仕方ない。

しかし冷静になって考えてみるとせっかくDVDを買って特典映像がメイキングって、小さい子どもにはどうなんだろう?
ありがちですけど、なんかイマイチな感じがします。
小学生くらいになればある程度面白いと思うんだけど…
僕はメイキング映像観るのが楽しみでDVDを買ったりするんですけど、まあ仕事が仕事なんでちょっと参考にならないですよね。
やっぱり番外編で小さいボーナスエピソードがあったり、あくまで、キャラクターやお話を充実させる方がいいんじゃないかなぁ…
そのぶん時間と予算は余計にかかってしまうんですが。

今年の頭くらいに発売された「メリーポピンズ」には、実は特典映像のスタッフとして参加しました。
ディズニー時代の最後の仕事だったのかな。
それは10分くらいの番外編なんですが、なかなか良くできていたように思います。
なんかアメリカのDVDアワードだか、賞にノミネートもされたようなので、観た人の反応も良かったのではないかと想像します。

メイキングといえば、もう結構前の話ですけど、ポンキッキーズに出たこともあります。
ブラザートムさんが「バットム」というキャラクターで、子ども達と一緒にいろんな場所で社会科見学というか体験のようなことをする企画です。
で、ディズニーアニメーションにきて、一日アニメーション製作体験をやりました。
僕は当然現場で迎える側のスタッフです。
まあ子どもやバットムさんが中心で、僕自身はほとんど映ってませんでしたが。

ああ、思い出した!全然取材されてないのにDVDにメイキングがついてた事がありました。
本当は日本で作ったのに、全然知らない外人が、アメリカで作ってるフリをしてる映像です。
発売されてからなんじゃこりゃ!とビックリしました。
未だにあれはなんだったのかわかりません。

さて話は戻って自分が出ているメイキング…やっぱり観たくないです、はい。

スリーピーホロウ

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「スリーピーホロウ」といえば、ティム・バートン監督で、ジョニー・デップ主演、クリスティーナ・リッチがヒロインの映画が有名ですが、どうもアメリカではかなりポピュラーなお話らしく、他にもいろんなバージョンがあります。元はと言えばワシントン・アーヴィングという人の小説だそうです。
日本でいうと小泉八雲の怪談話みたいな感じなんでしょうかね。

ティム・バートンは、20代の頃、ディズニーのアニメーターだったのですが、彼が子供の頃に影響を受けたディズニー作品として、いつもまず挙げるのが、この「The Legend of Sleepy Hollow」です。
日本では「ミッキーの王子と少年」というDVDに同時収録されている、「イカボード先生のこわい森の夜」として観ることができます。

※ブエナビスタの商品紹介のページです

http://club.buenavista.jp/disney/product/index.jsp?cid=135

ティム・バートン作品の方はゴシックホラー&ラブロマンスという感じでしたが、ディズニーの方はかなり雰囲気も筋書きも違います。
違いを比べてみると面白いかもしれませんね。

アニメ業界の厳しさ

1月から研修生として、僕の部署で働いてきた二人がいよいよ明日から正式な社員になります。
このブログを読んでるわけはないのだけど、これからよろしくお願いします。…と言いたいです。
素直で真面目でいい子たちです。

アニメーション会社って、本当にこれが現代日本なのか?っていう待遇で人を働かせるんです。
初任給が一桁は当たり前。
完全歩合制の会社が多いので、新人は勢い、ほとんどもらえません。
1日最低12時間労働。長いと…会社で生活します。
だから、だいたい最初の1〜2年は、親に仕送りしてもらうか、実家が東京近郊かのどちらかでないとやっていけません(日本のアニメーション関連会社の70%は、東京都内、しかも中央線沿線と、西武線沿線に集中しています)。
実家が遠くて、しかも親がお金を出してくれない場合は、なにしろバイトする時間もないし、この道をあきらめるしかないんじゃないかなぁ。

僕が所属している会社は、そんな業界の中では、かなり待遇はいい方なのですが、まあ一般企業に比べたら…よくないですね。
だってあの天下のスタジオジブリが、初任給167,000円なんです。
あんなに映画館にお客さんが入って、さぞかし儲かってそうなんですけどねー…

それでも毎年、多くの人が業界に入りたいって希望して、夢を抱いて勉強したり、上京したりする。
この原動力ってなんなんでしょうね?

僕自身はというと、CM業界で仕事していたときに、美術予備校時代の同級生から電話がかかってきて、
「ディズニーアニメーションで今働いているんだけど、今一緒に働いてくれる人を探してるんだ。誰かいい人はいない?」
という問いに
「あ、それ俺がやりたい」
と答えたのがきっかけです。
はっきりいって、それまでアニメーション会社で働いてみたいなんて露ほども考えた事はありませんでした。

運命とは不思議なもんです。

ディズニーで考える物語の意味

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僕は元ディズニー社員で、ディズニーのアニメーションを作っていたので、まあ内情というか、内幕というか、そういう事について、ある程度詳しいです。もちろんブログには書けないようなこともあるのですが、それはさておき。
今回は物語というのを個人の体験というレベルではなくて、社会学的な観点から考えてみたいと思います。

「ディズニー・シナジー」という言葉がアメリカにはあります。
シナジーというのは「相乗効果」というのがニュアンスとしては近いと思うんですが、僕の勝手な超訳なんで本当は違うかもしれません。
で、その意味はというと、

【1.物語とキャラクターを使って「アニメーション」(映像)を作る】
まずはここから。
物語もキャラクターも映像化する過程で生み出されていきます。
そしてキャラクターを取り囲む世界観はここで決まります。
お客さんは映像を観て、楽しさを得て、次の購買意欲が高まっていきます。
僕はディズニーという巨大メディアコングロマリットで、この部分を担当していたわけです。

【2.「テーマパーク」で、そのアニメーション、映画の追体験をできるアトラクションを作る】
お客さんはアニメーションや映画への愛着から、テーマパークのアトラクションを体験したいと考えます。
そして、アトラクションを体験する事で、さらに物語やキャラクターへの愛着が深まります。
それは次の購買意欲を引き出します。

【3.キャラクター商品を作る】
映像、アトラクションで、物語とキャラクターへの愛着を深めたお客さんは、ぬいぐるみをはじめとする、キャラクター商品を手元に置いておきたいと考えま す。また日常にキャラクター商品があることによって、さらに愛着が深まり、次の映像作品、アトラクションに対しても高い関心が寄せられるようになります。

【1または2へ戻る】

これがディズニー・シナジーです。
アメリカにおいて、エンタテイメント業界、ひいてはメディア業界の手本とされ(最近は違うようですが)、経済学の教科書にも載っているそうです。
日本でも、サンリオはこれを目指して、「日本のディズニー」を標榜していました。(これも今は違うのかな?)

このディズニー・シナジーの中で、物語というのは確かに機能していました。
つまり物語というのが、観る人に夢を与えるということはもちろん、経済活動の中に組み込まれていた。

一方で、東浩紀氏などが述べるように、日本のエンタテイメント業界は、70年代までの「大いなる物語」が機能していた時代、つまり物語を追体験する時代(ヤマト/キャンディキャンディ等)から、
80年代以降の物語よりも個々のキャラクターへの感情移入のみが優先される時代(北斗の拳/タッチ等)、
さらに90年代から現代に続く、「萌え」に代表されるキャラクターへの愛着が優先される時代にシフトしてきました。
この過程で、物語というのは次第に意味を失ってきた。

これはアニメなどの単体のメディア、しかも日本に限っての指摘ですが、僕はこれをディズニー・シナジーにも適用できるはずだと考えています。
つまり、
【1.物語とキャラクターを使って「アニメーション」(映像)を作る】
という項目自体の意味が失われてきた、ということです。

なぜこんなことを考えるようになったかというと、知り合いのひとりの女性の存在が挙げられます。

彼女は大のディズニーファンで、ディズニーランドの年間パスポートを持っており、さらに「くまのプーさん」グッズで家が埋め尽くされています。
ベビー用品はもちろん、食器、家具、寝具…マニアといっていいと思います。
ところが彼女は、アニメーションの「くまのプーさん」シリーズをほとんど観たことがないのです!
プーさん以外のディズニーのアニメ全般もあまり観たことがないらしく、「アラジン」と「美女と野獣」だけ観たことがあるらしい。

初めてこれを聞いたときはすごく驚きました。
じゃあなんでこんなにグッズを集めてるの?
「かわいいから」「好きだから」
じ…じゃあそれをきっかけにアニメも観てみようって思わないの?
「あんまり思わない」

つまり物語がなくても、感情移入できなくても、「キャラクターがかわいい」だけで、完結できる人がいるんですよね。
しかもそれは彼女だけじゃなく、どうやらかなり多くの人がそうらしい。
これを知ったのは、まだディズニーに在籍していた時だったので、極端に言えば、自分の存在理由が否定されたような気分になりました。

これは日本の局地的な現象で、世界的には物語はまだまだ有効である…かどうかは知りません。
私見では、海外の映画の作り方などを見ていると、今だ有効だということは、まあできるとは思います。
ただ、世界で放映されているアニメの60%が日本製である以上、無関係ではないはずです。

日本ディズニーのアニメーション

どうもアニメーション会社に勤務している、とブログに書いているのに、
役職(アニメーターをはじめとして、撮影とか、仕上げとか、いろんな過程を経て1本のアニメーションは仕上がります)もはっきりせず、作った作品もはっきりしない、というのはいくらなんでもヒドいと、今さらながら感じました。
で、作品か、役職か、どちらかくらいは具体的に書こうと決めました。
いろいろ考えたのですが、やっぱり役職だと話題がマニアックに偏りがちになる予感がしたので、作品の方を公表したいと思います。
業界の裏話とかは逆に役職を公表した方が書きやすいのですが。

僕は去年まで、ディズニーのアニメーション部門に在籍していました。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・ジャパンという会社です。
あまり知られていませんが、日本国内にも、ディズニーのアニメーションを作る会社があったのです。
「あった」というのはもうないから。
去年無くなってしまいました。
アメリカ本社の意向で閉鎖したのです。
実はここ2年で、ディズニーに在籍していた、アニメーションに携わる人の70%が解雇されました。もちろんアメリカ国内も含みます。
理由は、2Dアニメでは採算が取れないから。
日本国内ではたくさん作られているけれど、時代は3Dアニメ主流です。

現在、僕は違うアニメーション会社に在籍しています。

この秋、僕がディズニー名義で最後に携わったアニメ映画が公開されます。
くまのプーさんの新作です。
アメリカでは既に公開されて、最高全米5位になりました。
会社がないので、当然、社割も無いし、試写会も行けませんが、
チケットを買って、映画館に足を運ぼうと思っています。

現在アニメーション仕事中

アニメーションという、まあ金銭面や待遇面から考えたら、明らかにやめたほうがいい職業に就いている僕は、土曜日の夜、現在も仕事中です。
今や、世界的に有名らしい日本のアニメーション産業のうち、広告代理店や、現像、音響を除くいわゆるアニメーション制作会社は、その七割以上が東京、西武線沿線と中央線沿線に集まっています。
これは昔、東映動画、虫プロ、東京ムービーといった老舗が、それぞれ、東大泉、富士見台、南阿佐谷にあり、下請けなどの関連産業が、その周りにできていっ たかららしいのですが、僕の働いている会社も、取引のある別の会社も、個人で仕事をされてる方も、確かにみんな西武線か中央線に位置しているのです。下北沢に住んでいる、というのは同業者であまり会ったことがありません。
商業アニメではない、いわゆるアニメーション作家の方も沿線に住んでいることが多いのはなんででしょう?あと漫画家さんも多いです。
これからアニメーションを仕事にしたいという方は、まず中央線か西武線沿線に引っ越してみることをお薦めします。中央線で言えば、特に吉祥寺から高円寺の間がいいです。居酒屋に、定食屋に、本屋に、世界的な巨匠がうろついてたりします。そういう空気を感じながら勉強するほうがモチベーションがあがると思う ので。