ある日妻が「じんましん」になった。
いや、症状としては発疹というべきか?
とにかくかゆみが我慢できないと言い、病院に行った。
診断結果はストレスによるアレルギー。
動物性のものを3日間は食べないようにしてください、とのこと。
この「動物性」ってのが曲者だった。
・肉と魚
はもちろんのこと、
・卵や牛乳
なんかも食べたり飲んだりすると気持ちが悪くなる。
卵や牛乳が入っているからパンが食べられない。
じゃあ、と思ってうどんを作ったら、めんつゆに入っているカツオだしが動物性でアウト。
野菜は大丈夫、とサラダを作ったら、家のほとんどのドレッシングにこれまたカツオエキスだったり乳製品が使われている。
「もずく」や「めかぶ」や納豆も、タレが駄目。
みそ汁もだし入り味噌やインスタントは駄目。
さらにゼリーなどゼラチンを使っているものは駄目。
○○が食べられない、というより、食べられるものを探す方が大変だということがわかった。
いろいろ探した結果、いわゆる健康食とか、野菜中心の食生活とかのイメージとは違う、食べられるもののリストができた。
・ポテトチップスやフライドポテトはOK。
・ペペロンチーノやポモドーロはOK。
・湯豆腐、冷や奴はOK。
・ピクルスはOK。
とまあこんな感じ。
意外と野菜中心というイメージのある和食はカツオだしがもれなく入っていて、少なくとも出来合いの総菜や、一般的な料理本のレシピでは使えない。
昆布だしも、液体で売られている物は大抵カツオエキスが入っていて使えない。自分で昆布をもどすか、昆布だしのみの顆粒が売っていたので、それを使う。
いろいろ調べたりして、ベジタリアン(菜食主義者)にも詳しくなった。
ベジタリアンとはいっても複雑で、以下のように細かく分かれている。
名称 | 肉 | 魚 | 卵 | 乳製品 | 蜂蜜 | 主な特徴 |
セミ ベジタリアン | △ | × | ○ | ○ | ○ | 肉を食べる割合が少ない人 |
ポウヨウ(チキン)ベジタリアン | △ | × | ○ | ○ | ○ | 鶏肉以外の肉は食べない |
ペスクタリアン(ペスコ ベジタリアン) | × | ○ | ○ | ○ | ○ | 魚介類を食べるベジタリアン。 |
ラクト オボ ベジタリアン | × | × | ○ | ○ | ○ | 菜食に卵と乳製品を加えたベジタリアン |
オボ ベジタリアン | × | × | ○ | × | ○ | 菜食に加えて卵のみを食べる |
ラクト ベジタリアン | × | × | × | ○ | ○ | 菜食に加えて乳製品のみを食べる |
ダイエタリーヴィーガン | × | × | × | × | × | 食のみ制限したヴィーガン。衣類などに動物性が含まれるのはOK |
オリエンタルヴィーガン | × | × | × | × | × | 五葷(ゴクン)を除く植物性食品はOK |
ヴィーガン | × | × | × | × | × | 衣食住全てにおいて可能な限り動物由来のものを避ける |
フルータリアン | × | × | × | × | × | 収穫しても死なない植物はOK(例:人参は×だがトマトは○) |
ベジィ・ステディ・ゴーから引用(リンク先ではなく紙媒体より)
私の妻は動物性たんぱく質を摂取しない、ということは上の表によるとダイエタリーヴィーガン、ということになる。
思想としてのベジタリアンやヴィーガンには興味が無いし、行き過ぎた食事制限は潔癖症と同じで不便なのだけど、うちの場合は体質の問題だからしょうがない。
料理本もいろいろ探した。
“野菜”とか”ベジタブル”と書いてあっても必ずしも動物性の食材を使っていないとは限らないのが難しい。
いろいろ探した結果、マクロビオティックと銘打っているものは割と大丈夫だとわかった。
でもヘルシーを全面的に押し出していて、いかにも線の細い女性が好みそうなレシピ、という感じでいまいちピンとこないものが多かった。
うちの食事は私(30代男・好き嫌い無し・よく食べる)も食べるわけだし。
そんななか書店で妻が見つけたこの本は良かった。
すごい。
「ゆるベジ」と銘打っているのに全然「ゆる」くない。
厳密に動物性の食材を使っていない、ヴィーガンレシピ。
全てが、というわけではないけど、実際作ってみても美味しいと思う。
Amazonのレビューを見ると「油を多用していてヘルシーじゃない」という意見もあるみたいだけど、それならマクロビオティックを銘打ってる本を読めばいい。
「ヘルシー気分」に浸る(それが悪いわけではない)のが目的なら、この本は適していない。
でも動物性の食材を摂取できない人や、そんな家族を持っている人ならすごく使える本。
ちなみに最近この「ゆるベジ」という言葉を拡大解釈して、「ゆるベジなお店特集」と銘打っている雑誌の特集があった。中身を見てみたら、「野菜を美味しく食べられるお店」というだけで、魚も肉もバンバン出てきてた。おいおい。
他にも参考になった本をいくつか紹介。
この方の本はときどき動物性の食材が出てくるので、過信は禁物。でもある程度気をつければ、かなり使える。味付けが割と濃い目だったり上記の「ゆるベジ」と同じでマクロビオティック信奉者には向かない。
Veggy STEADY GO ! (ベジィ・ステディ・ゴー)
2010年1月現在、隔月の雑誌。
ベジタリアン情報誌ということで、新しい情報が載ってる。
ひとつひとつの記事よりも、意外と広告に有用な情報が多い。
例えば今だったらタジン鍋やシリコン調理器具の新商品とか。
動物性を含まない食材専門のショップとか。
やっぱり基本的にはニッチ分野だし、いまいちWebと相性がいいとも言えないジャンルなので、最近はいつも買っている。
他にも台湾料理やインド料理など、比較的ベジタリアンが多い国の料理を紹介した本は使えたりする。
妻はその後3日と言わず、今も動物性のものを食べ過ぎると具合が悪くなる。
しかしまさか1年前には想像もしていなかった現在の生活だ。