そんなに普段写真集を買ったりしないんだけど、書店で見かけて思わず釘付けになってしまった。
不勉強で佐藤信太郎という方も知らなかったのだけど、数日迷った上で購入。
非常階段東京―TOKYO TWILIGHT ZONE 佐藤 信太郎 青幻舎 2008-07-20 |
青幻舎サイトより
自然光と人工光が妖しく混ざりあう、東京の最も美しい表情がここにある
ビルの非常階段から東京の街を撮影する著者の
「非常階段東京 TOKYO TWILIGHT ZONE」。
黄昏に浮かび上がる雑然とした町並みさまざまな表情。
新しいものと古いものが同時にうごめき最も美しい姿を現す瞬間。
大都市東京から放たれる底知れぬエネルギーを
幻惑的かつリアリティにとらえた快作。寄稿:塚本由晴 (建築家 / 東京工業大学大学院准教授)
写真集に関してあれこれ字を並べ立てるのは実に野暮だという気もするので出版社サイトより画像を引用。百聞は一見にしかず(著者ならびに出版社からクレームが来たら削除します)。
新宿区歌舞伎町 2005
著者のサイトを辿れば著者じきじきの言葉と共にもっと高精細な画像を観ることもできる。
なぜ私がこの写真集に惹かれたのかといえば、アニメーションの背景美術を描いてきたということは、やはり大きいだろう。
このぐらいの距離感の街並みというのは一番描いていて難しく、面倒くさく、だけどうまくいくと作品にリアリティを与えるいい絵になるものだ。
だから単純に業界の背景美術の人は、この本、いい資料になるんじゃないかと思う。
時間も素晴らしい。日の光が地平線の向こうに消え、でもまだ夜では無い時間帯。
街灯が点き、ビルや家並には明るく光が灯っているけれど、まだ屋上部分は黒くならない(完全な夜になるとビルの屋上は光源が無いので黒くなります)。
長時間露光で、歩いている人は消え、車はライトの筋になる。
リアルでありながら幻想的、とか、近すぎず遠すぎないエロティックな距離感、とか、いろいろ表現する言葉はあるんだろうけど、単純な話、グッとくる写真の数々でした。