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「ほぼ完成」で半分

結構前の記事で当時これについて書きたかったのだけど時間がうまくとれなかった。
Software is Beautiful:第2回 「締め切りは絶対に守るもの」と考えると世界が変わる|gihyo.jp … 技術評論社

こちらは付随記事。
Life is beautiful:「時間に余裕があるときにこそ全力疾走で仕事し,締め切りが近づいたら流す」という働き方
Life is beautiful: スタートダッシュ型仕事術:実践編

私はプログラマーではない。 エンターテイメント分野のコンテンツ製作者だ。
ゲームだったりアニメだったり広告だったりを作っている。
締切は基本的には守るが、プロジェクトで数十名のスタッフが関わっていると、どうしようもないこともある。
頼んだ仕事が期日にあがってこず、修正のためにとってあるマージンの期間も食いつぶして、泣く泣くクライアントに謝ってスケジュールの見直しをお願いすることもある。
そしてスタートダッシュ型の仕事が出来るわけでもない。
追い込まれて徹夜することもしょっちゅうだ。
要するに記事内で言われていることに対しては、もっともだと首肯するが、私にはできない。
でもひとつだけ強く共感するのは

与えられた時間の半分の時間で「ほぼ完成」まで持っていく

という部分だ。

エンターテイメントというのは、ゲームにしろアニメにしろ漫画にしろイラストにしろ、そしておそらく演劇であれ音楽であれ、仕様通り、枠組み通りに作っても実際のところ、いまいち面白くないことがほとんどだ。
ストーリーが面白くても、キャラクターが魅力的でもさっぱり。
ひと通り仕上がってからの調整や修正で、リズムが生まれたり、飛び抜けた完成度に持っていけたり、かゆいところに手が届いたり、ホスピタリティ(おもてなし)が発揮できたりする。
ゲームなどのデバッグは言わずもがな。
こればっかりは例えば傑作ゲームの調整前をプレイしたり、傑作映画の編集前を視聴したりといった経験をしないとピンとこないかもしれない。
神は細部に宿りたまふ。
風呂敷は広げるのは容易く、閉じるのに骨が折れるのだ。

もっとも、プログラムの世界では恐らくないであろう、”追い込まれたからこそできる表現”、というのもあるのが、一般論では語りきれない部分ではある。
例えば「新世紀エヴァンゲリオン」のTVシリーズ25話、26話。
賛否両論あるのはもちろんだが、あの、現場は無茶苦茶だったに違いない表現がなければ、エヴァはアニメファン以外も巻き込んだブームにはならなかったはずだ。