既に発売されてだいぶ時間が経っているので、入手された方も多いかと思う。
Photoshopのブラシのカスタマイズについて、いや、画材としてのPhotoshopの可能性について、現在ここまで深く解説されている本は他にない。
Adobe Photoshopは画像ソフトとしてデファクトスタンダードでありながら、ネット上の様々な場所で、「ペイントソフトとしては使い勝手も機能もイマイチ」という意見が散見される。
「写真用のソフトだから」と。
この本を読む…いや、パラパラとめくれば、それが誤解と無知からきていることがわかる。
目次
Chapter 01 – カスタムブラシ
インク、水、塩の実験から作る有機的なカスタムブラシ
動物のテクスチャからブラシを作る方法
カスタムブラシ
時間節約のためにカスタムブラシを作成する
肌用のカスタムブラシ
Photoshopでゼロからブラシを作成するChapter 02 – スピードペインティング(早描き)
農家に近づいてくる竜巻
蒸気で動くメカニカルデストロイヤー
エイリアンの熱気球
森林火災
魚雷被弾
エイリアンの熱気球
荒廃し、草木に埋もれたかつての都市Chapter 03 – マットペインティング
「Renaissance」(ルネッサンス)のメイキング
「Finding Unknown Kadath」(未知なるカダスを探して)のメイキング
季節の変更:冬景色のマットペインティング
パイロテクニクス:炎と煙
マットペインティングのヒントとコツChapter 04 – クリーチャー
「Bird Catcher」(バードキャッチャー)のメイキング
クリーチャーのコンセプトデザイン入門
大気が薄い環境にいるクリーチャーのデザイン
動物の毛のペイント
動物の目のペイントChapter 05 – 人物
金髪と赤毛のペイント方法
魅力的な唇のペイント方法
男性の肖像画
リアルな肌のペイント
人の顔
人の目のペイントChapter 06 – 環境
砂嵐
竜巻
暴風雨
吹雪
熱波
「Another Rainy Day」(今日も雨):都市景観のペイント
水面と波のペイントChapter 07 – SFとファンタジー
鎧のペイント:ヨーロッパの騎士(European Knight)
惑星と星空
「Pier Duty」(桟橋での任務)のメイキングChapter 08 – プロジェクトの全体像
「Funfair」(遊園地)のメイキング
2D画像をゼロから作成する
「Keep A Sharp Eye」(見張り番)のメイキングギャラリー
Photoshop以外だと、Corel Painterを使っている人が数人参加しているが、9割方はPhotoshopを使っている。
技術的な側面だけでなく、制作手順を豊富な図版で解説しており、実に楽しめる。
画像は全て ボーンデジタルサイトより
作中で使用されているブラシなり画像なりはサイトにアクセスし、ダウンロードできるのも当然だが嬉しい。
この本の欠点…私にとってはそれは欠点ではないが、あるとすれば、日本人でPhotoshopを使って絵を描こうとする人の多くがやりたいであろう、アニメ塗りやエロゲ塗りの解説が無いことだろうか。
まあでもそれは昨今数多く出ているムックでも読めばいい。
また、全く絵の基礎力が無い人が読むと、それはそれで落胆するかもしれない。
デジタルの力を使って、絵の下手な人がうまく描けるようになる、という本ではないからだ。
個々の解説者の画力が高すぎて、同じブラシを使って解説どおりに描いても、まあ同じようにはならないだろう。
じゃあ誰が読むべきなのか?
この書籍のタイトル通り、デジタルで絵を描くことを仕事にしている人、それを目指している人だ。
必読と言える。
高価な本だが、その価値はある。
…けれど、原書ならだいぶ安く買える。
画像点数が多いし、Photoshopのパラメータなどは英語がわからなくてもだいたいわかるので、こちらを買ってもいいかもしれない。
Volume 2。
Volume 3。
なんか味をしめたのか怒涛のラインナップですね…管理人は最初の1冊以外は読んでないので中身は保証できませんので悪しからず。
[…] This post was mentioned on Twitter by むく, きりー. きりー said: これはそそられるなぁ… RT @uki18 ちょっと、いやかなりほしい。 http://konikugan.com/?p=704#more-704 […]