I’ve seen movies that moved me, read books that changed my outlook on things and listened to many pieces of music that influenced my mood. Somehow, I never seem to be touched the same way by graphic design,
自分を感動させてくれる映画があった。
物事の見方を変える本があった。
僕の気分に影響を与えた多くの音楽を聴いてきた。
どういうわけか、グラフィックデザインが同じような感動を与えてくれた覚えは決してない。
上の文章は、雑誌「アイデア 275号」に載っていた、
ステファン・サグマイスター(Stefan Sagmeister)の文章の一部です。
私が大学4年の夏の時に発売された号。
大学でグラフィックデザインを学んでいたにもかかわらず、私は結局グラフィックデザイナーにはならなかったわけだけど、その理由の一つは、人生の岐路に立っていた時にこの文章に出会ったからです。
もちろん彼は、本当に人の心に届くような、物の見方が変わってしまうようなグラフィックデザイン、タイポグラフィを生み出そうとしているからこそ、そういうことを書いたわけだ。
ちなみに上の文章は
leave alone a piece of typography.
ただ一片のタイポグラフィを除いては。
と続き、そのあといかにもサグマイスターらしいエピソードが語られます。
彼の言う、人の心を揺り動かすクラクラするようなデザインは、その「アイデア 275号」を見ればわかります。
彼自身の体にニードルで傷つけて書かれた「Stefan Sagmeister」のサイン。そしてプロフィール。ところどころ血が滲んでいます。(※画像はトリミングしており、オリジナルのデザインではありません)
タイポグラフィをフォントの配置くらいにしか考えていなかった私はものすごい衝撃を受けました。
そして今私は、人を感動させたり、物の見方が変わってしまうようなものを作り出そうと飛び込んだアニメーション業界を去ろうとしています。
ステファン・サグマイスター、あなたは立派だ。
少なくとも私は、日々のおよそクリエイティビティとは縁遠い仕事の中で、あなたのような高邁な理想とモチベーションを維持することはできなかった。
あなたの背中は昔も今も遠い。
ステファン・サグマイスター
1962年、オーストリア生まれ。ウィーンの応用美術大学で美術学修士号(グラフィックデザイン専攻)を取得。フルブライト奨学生としてニューヨークのプラット・インスティテュート修士号取得。広告代理店レオ・バーネットの香港オフィス、ニューヨークのM&Co.にクリエイティブディレクターとして勤務した後、1993年ニューヨークにサグマイスター・インクを設立。グラミー賞パッケージ賞に4回ノミネート。クライスラー賞、ニューヨーク・アートディレクターズ・クラブ金賞、東京TDCグランプリなど数多くの国際的なデザイン賞を受賞する。
大日本印刷のサイトより引用
[デザイン]おごらない
デザイナーでありながら人間としてのデザイナーはあまり好きでない。基本的にデザイナーというやつは嘘臭いやつだ。そのくせ自信にだけは満ちているからクライアント側も安心して…