三国志本は数多ある。
武将の特徴を取り上げた今回のような武将百科に類する物も数多い。
だが問題は、2000年近くも昔の武将達への想像力を、最大限にかき立ててくれるべき挿画を誰が担当しているか、というところ。
この本、Amazonはおろか、出版社のサイトを見ても「著者:渡邉 義浩」のみで、誰がイラストを担当しているかは皆目わからないが、実は逆転裁判シリーズのキャラクターデザイン等で知られる岩元辰郎その人と、創聖のアクエリオンの金田榮路であると知れば、否が応にも興味が湧いてくるというものだ。
特に8割以上のカラーイラストは岩元氏の手によるものなので、岩元辰郎のファンだったら、絶対に手に入れておくべき一冊。
三国志武将大百科―ビジュアル版 (1)
渡邉 義浩 ポプラ社 2008-04 |
ボブラ社サイトより
大迫力のカラーイラストとともに曹操ひきいる魏軍中心に武将46人の活躍をダイナミックに再現! 『三国志』武将カタログの決定版。
ちなみに、魏・呉・蜀が一巻づつで、3巻セットになった以下のものも売っている。
三国志武将大百科 ビジュアル版(全3巻)
ポプラ社 2008-04 |
『三国志』から人気の武将141人を厳選。統率力、戦闘力、知力、政治力、人望の5つの面から、各武将の能力をくわしく紹介します。
ちなみに(2)呉の巻のイラストは三国志大戦の風間雷太、カードゲームのキャラデで知られる増田幹生、
(3)蜀の巻のイラストも同じく三国志大戦のタカヤマトシアキ、伊藤サトシと豪華布陣……というか完全にゲーム系に偏った人選なのが興味深い。
この本が面白いのは裏に
図書館用特別堅牢製本図書
この本の表紙には特別フィルム加工がしてありますので、汚損の心配がありません。
と書いてあるところ。
つまるところ、小中学生向けの学校図書なわけだが、だからこそわかりやすくまとめられており、
- これから三国志を読んでみようという人
- ゲームでしか三国志を知らない人
- 昔読んだきりで改めて復習したい人
など、意外と幅広い人にお薦めできる。
紙面構成はまるでゲーム攻略本のキャラ紹介のよう。
- 左に大きく武将の全身ショット
- 簡単なプロフィールと個人年表
- この本の特徴とでも言うべき、パラメータ
- 人物相関図
その後2〜4ページで武勇伝がコンパクトに解説されている。
コアな三国志ファンなら当然物足りないだろうが、巻末に三国志演義の年表や索引もあるので、ごく普通の人間には必要にして十分な情報量であると言えるだろう。
パラメータは、まあキャッチーなお遊びと言えばそれまでだが、文字でくどくどと書かれているよりは、確かに入門書としてはわかりやすいと言える。
そしてなによりファンならずとも、岩元辰郎の手による、武将の数々をまずはその目で堪能して欲しい。