映画「アンタッチャブル」(芸人さんのアンタッチャブルの方が最近では思い出されますが…)が大好きで、この間DVDを買ったんです。
まだかっこいい頃、というかこれが出世作のケビン・コスナー
この映画で、再び人気が再燃したショーン・コネリー
アンディ・ガルシアもこれが出世作
そしてアル・カポネ役のロバート・デ・ニーロ
衣装がジョルジオ・アルマーニ
音楽が巨匠エンニオ・モリコーネ
そして監督のデ・パルマ節が炸裂!
いやいや、すごい布陣だ…
昔テレビで放映したものを録画したビデオを、それこそ擦り切れるほど観ました。
ファッションやサントラに興味を持ったのもこの映画がきっかけかもしれません。
で、DVD。
豪華特典映像ってやつがついていました。
製作秘話とかが収録されているというんで、それを観たんです。
ここでちょっと話が変わるんですが、ロバート・デ・ニーロの逸話っていうのがあります。
元祖カメレオン俳優のロバート・デ・ニーロ。
「タクシー・ドライバー」での常軌を逸していく人物など、演技力はもちろんのこと、演じる役柄によって肉体も著しく変貌させてしまうことからついた異名です。
いろんな逸話があるんですよ。
【「レイジング・ブル」では劇中で何十キロだか体重を増やした】とか。
で、そのなかに、
【「アンタッチャブル」のアル・カポネ役をやるために前髪を抜いた】というのがあるんです。
アル・カポネというのは実在したシカゴのマフィアで、禿げているんです。
で、それを演じるために、全然禿げていないデ・ニーロは、自らの前髪を抜いた。
初めてこれをなんかの本で読んだときは驚きましたよ。
さすがにカメレオンの異名をとるだけのことはあるな、と。
やれといわれても普通できないですよね。
特典映像のインタビュー、デ・ニーロは出てこないんですけれど、その他の主要な役者、そしてプロデューサーやブライアン・デ・パルマ監督が、いろいろと語っています。
で、デ・ニーロをキャスティングするために苦労した話なんかも監督の口から語られたんです。
「撮影に入る3か月前にデ・ニーロにあったら、やせ細った姿だった。『アンタッチャブル』のあとにも撮影が控えていたから、体重を増やすのは無理だと考えて、ボディスーツを着て恰幅よく見せる事にしたよ」
ええ〜〜っ!
カメレオンじゃないじゃん!普通じゃん!
アル・カポネ役をやるにあたって、大幅に体重を増やした、っていう話、それこそデ・ニーロに関する記述でしょっちゅう出てくるけれど、嘘じゃん!
まあ顔の貫禄を出すために、ある程度は本当に体重を増やしたんだろうけれど、それくらいは他の俳優さんでもやってることですよね。
さらにインタビューは続きます。
「彼には前髪を剃ってもらって、剃り跡はメークで隠したんだ。メークは本当にいい仕事をしてくれたよ」
ええええ〜〜〜〜っ!
髪抜いてないんじゃん!
普通の特殊メイクじゃん!
しかも監督が褒めてるの、デ・ニーロじゃなくてメーキャップ・アーティストだし。
…カメレオン俳優とかデ・ニーロ・アプローチっていうのって、作られた伝説なんじゃないのか?
まあ冷静に考えれば、俳優はその後の活動に支障をきたすようなことをやるのはマズいわけで、例えば前髪抜いちゃったらしばらくは生えてこないだろうし、無理な体重の増減で体壊しちゃ元も子もないんだけど。
もちろん、嘘だったからといって、ロバート・デ・ニーロの俳優としての偉大さは、なんら変わらないのですが。
映画雑誌にもまことしやかに書かれているこの伝説、いったいどこから出てきた話なんでしょう?